フリースクール「ぼんとん」

９．運営者の体験談

春日部市教育センター主催「不登校を考えるシンポジウム」のパネルディスカッションの原稿より

①　不登校だった時期
　学校に行き渋りだしたときはどうしても学校にいってほしかったので、無理に連れて行ったりしました。行かなくなったら勉強に遅れがでてしまうと焦ってしまい、なんで学校にいかないといけないのかとか、勉強しなくちゃいけないのかとかをくどくどと話していました。私の言葉でさらにプレッシャーをかけて、苦してめているのかも、とおもいはじめ、私自ら「もう学校に行かなくてもいいよ」といいました。学校にどうにか行くことが解決に向かうことではないとおもったからです。学校に行かなくなり、今後どうしていいかまったくわからなかったので近所や知り合いの人にどうしたらいいか、経験ある人たちはいるか、その人たちはどうやって乗り越えたか、など情報を集めていきました。適応指導教室という場所があると知り、見学しました。

②　心の内やその変化について
　学校に行かなくていいと決断したものの、学校という社会からはみだしてしまい、人と会わない話さない状況になり、また反対に学校に行っていないという世間体が気になり、自分の子育てに自信を無くし、私自身が落ち込み、出口の見えない暗いトンネルのなかにわたしたち家族だけで生活しているような気持になりました。そのような先の見えない状況がただただ苦しかったことを思い出します。そんな中適応指導教室の先生から毎日日記のようなお手紙をいただき、一番苦しいのは本人だよ、と教えていただき、最初はそれくらいわかっている、でも私もしんどい、とおもっていたのが、毎日先生から共感していただいたり、励ましていただいていくうち、時間の経過とともにだんだんつらいのは本人なんだなということがわかってきました。また周りの人に頼ってみました。広報を見て頼れそうな親の会に参加してみました。カウンセリングをやってくれる医療にも頼りました。子どもといっしょに参加できそうなバンドにも加入し、地域と離れないようにしました。そのとき私が心がけていたことは、なんら依然と変わらない関係でいよう、遠慮せず、でも傷つけないようにを念頭におきながらよく話をしました。

③　不登校が解消に向かったきっかけ
　高校に通うことになりました。私は高校入学と同時にカウンセリングのアポイントを取り、スクールソーシャルワーカーの先生と高校３年間相談させていただきました。SSWの先生にお会いした最初の面談で、頼れそうな人に頼るのはとても大事だし、子どもを手放す時期は人それぞれでいいんだよと教えていただき、肩の力が抜け、私自身が後悔しないように、手放しても大丈夫と思えるまで見守っていこうと思えました。SSWの先生との出会い、会話はいまでも私の宝物です。SSWの先生はじめ辛さを分かってくれる人と話す事で、気持ちが軽くになり、エネルギーをもらえるという体験を何回も繰り返し、共感してもらうことの大切さを実感しました。

④　現在の過ごし方や不登校について現在思うこと
　あの時期学校に行かなくてほんとうによかったとはやっぱり思いません。学校で学べることはやはりたくさんあります。でも幼少期から卒業し成長期にはいったあの時期親としてもう一度わが子をよく見つめなおし、周りや兄弟、だれかとだれかを比べるのをやめよう、自宅は家族みなが心と体を休める場所にしようと意識するようになりました。そうするとほんとうに小さいことで喜びを感じたり幸せを感じられるようになりました。結果、学校に行かない時間は今思い返して考えたら、本人も私も自分に向き合う大事な期間でした。こうお話ししている私も、当初はどうにか学校に行ってほしいと願い、行けないのは私の性格やルーツが関係しているのではと自己否定していました。経験した人からのお話しを聞いても、TVでこうなったとお話を聞いても、なんでそうなるのかがわからない、答えがほしいと思っていました。わからない、を繰り返しながらほんとうにたくさんの人に共感してもらったり支えてもらったりしました。一歩踏み出して人に頼ることを知り、よい出会いをたくさんつくりました。こどもも自分も変われたのはこの他者との良い出会をつくったのがものすごく大きかったと感じます。また子どもが動きたいときに良い方向に動けるように情報を集めたのもよかったです。全部が全部よい出会いだったり情報だったりしないかもしれません。もしよいものでなかったときは、これは自分に合わなかっただけ、と前向きに考えて、怖がらないで、次の一歩を踏み出してほしいです。ぜひ足を運んで自分に合ったよい出会いを見つけたり、自分たちに合っている情報を集めていってほしいとおもいます。それからこちらから探していけば寄り添ってくれる人はいます。不登校を経験した人にしかわからないことがあるかもしれませんが、わかろうとしてくれる人たちがたくさんいます。ぜひ話を聞いてもらって気持ちを軽くしてほしいなぁとおもいます。

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